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自閉症画家のコミュニケーションにおけるこだわりは?西出 結星さんインタビュー

西出さんについて教えてください

12年前から在宅でできる仕事をしています。絵やブログを書いたり、YouTubeの動画作成など、パソコンでできることをしていて、人とはあまり話さずに仕事をしています。

SNSやメディアでアスペルガーについての発信も行なっています。

どのような特性をお持ちですか?

子供の頃からあまり喋らなくて、ずっと机に向かっているような感じでした。
自分ではわからないのですが、集中力がものすごくあると言われることが多いです。
その場に何時間でも居られることが多く、車の運転や自転車での移動も長時間できます。
「疲れないの?」と聞かれますが、全く疲れを感じません。機械相手だととても楽です。

ちなみに数年前にクリニックで検査した結果、「アスペルガーということでいいと思う」と言われました。
以前から発達障害のことを発信していたのですが、診断をもらったことで、より発信しやすくなり、よかったです。

普段「擬態」をしていると仰っていましたが、
擬態していない本来の西出さんはどういう方なのでしょうか?

本来の自分はあまりよくわかりません。世間に溶けこむため擬態してきたからです。
擬態とは、演技よりももっと強いもので、本能的なところから変わってしまうことを指しています。
同じ性質の人ならこの言葉を聞いて、ピンときてくれるかもしれません。

こういうことが積み重なり、ときおり数ヶ月寝込むくらいの辛さがあリました。
生きるのに必死でした。

しかしここ数年SNSで似たような価値観をもつ人が集まってくれたおかげで、世界が変わり、楽になりました。

擬態や演技をしすぎてわからなくなってしまった「本来の自分」を、今ここから探し始めることができるかもしれません。
本当にみんなのおかげです。

人と関わる上で難しいのが、煙のように形が変わる「感情」というものがついてくることです。
例えば車はブレーキやアクセルがあって、明確な交通ルールがあります。
でも人に関わる際は、どこでアクセルを踏んで、ブレーキを踏むのか分かりづらく、また人同士で付き合うと「アクセルとブレーキ同時に踏んでほしい」と暗に言われていたりします。
バランスをとればいいのだと思いますが、難しいです。

そして、仮にその通りにできても、明日になったら「なんか違う」ということが起きます。
どれくらいの距離で接したら良いのかという正解がないことは分かっていても、正解はどこにあるのか無意識に探してしまいます。
そして、せめて不正解だけは避けたいなと思ってしまいます。
考えすぎだと言われそうなのですが、ここまで考えても感情に関することが結構わかりません。
わからないから、考えてしまうのです。

人との関わりの中で、譲れないこだわりのようなものはありますか?

深く付き合う人とは、物理的なものを互いに積み重ねていかないと、その人に対する感情が私の中に生まれづらいというものがあります。
なので、好きになった人とは一緒に仕事をすることがほとんどです。

理由としては、言葉や感情は消えたり変わる可能性が高いけれど、金銭や物は残るからです。
私は20代の頃、大勢の男性から愛の言葉をもらってきましたが、そこには下心がありました。
真実と言葉が合致していない経験が多かったです。
下心が嫌なのではなく、合致していないことが困りごとでした。

だから私は相手に対して言葉だけではなく、行動して目に見えるものを積み重ねたいです。

言葉は一瞬で言えるかもしれないけど、行動は一瞬ではできないです。
相手を考えて、時間を使って大切にしたいなと思っています。

この件はあまり発信してこなかったのですが、わかりづらいでしょうか?

「わかりづらい」と言われる可能性もありますが、この機会に掲載しましょう!

ありがとうございます。すごく嬉しいです。
「嬉しい」というのも、このように自分発信の感情はあるものの、相手発信の感情はあまり深く受け取れていない場合があります。
自分が経験したことなら深く共感できるのですが、未経験のことに関しては、かけていい言葉などが分からない場合が多くあり、とても難しいです。
だから、まずは物やお金、行動で示そうとしているのかもしれません。
言葉が苦手なのかも。

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